Adaptive designとベイズ統計学

統計家以外にもおすすめのアダプティブデザイン(AD)の本。ADは臨床試験の一つの重要なカテゴリである。試験のデザインの要素の一部を試験実施中に得られた情報にもとづき修正する可能性のある試験デザインのことである。たとえば、複数の試験薬群のうち対照薬群に対して有効性が検証できる確率が低いことが試験実施中に得られるデータから高い確率で予想されるときに、その群を中止することができるようなデザイン。試験の実施は複雑になるが倫理的に受け入れやすい(無効な治療に割りつけられる被験者を最小化できるので)ともいえる。もちろん、試験実施中に得られる情報により結果にバイアスが入ることのないよう、試験は注意深く計画されなければならない。
第1章はベイズ流アプローチによる臨床試験の紹介である。第2章はベイズ統計学のおさらい。第2章がよくまとまっており、ここだけでも読む価値があった。ここまでしか読んでいないが。ベイズ統計学でもちいられるさまざまな概念と臨床試験の重要な要素の関係が簡潔に説明されている。統計学的に詳細な説明は、他書(Carlin and Louis, 2009)にゆずっているが、ベイズ統計学で用いられている諸概念の意味がよくわかるように配慮されている。

Bayesian Adaptive Methods for Clinical Trials (Chapman & Hall/CRC Biostatistics Series)

Bayesian Adaptive Methods for Clinical Trials (Chapman & Hall/CRC Biostatistics Series)

Bayesian Methods for Data Analysis (Chapman & Hall/CRC Texts in Statistical Science)

Bayesian Methods for Data Analysis (Chapman & Hall/CRC Texts in Statistical Science)